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No.071  サルコペニアについて

放置しておくと将来ロコモティブシンドロームや、骨粗しょう症性骨折の原因となり、ひいては寝たきりの原因にもなると言われているサルコペニア。
その現状と予防対策方法についてご紹介します。


サルコペニア(Sarcopenia)とは

サルコペニアとは、筋肉の量が減少していくfrail(虚弱)現象の一種で、ギリシャ語でサルコ(=肉)ペニア(=欠乏)と呼ばれており、「加齢性筋肉減少症」とも言われます。

症状は25~30歳頃から徐々に始まり、筋繊維数と筋横断面積の減少が同時に進行していきます。

原因は 主に筋肉の使用不足(不活動)であり、その他にも複数の要因が影響していると考えられています。
サルコペニアは、立ち上がりや歩行に必要な筋肉(後背筋、腹筋、膝伸筋群、臀筋群)に多く見られ、進行すると歩行が困難になる他、体を支える筋力の低下による 歩行時の転倒や骨折の原因にもなりかねません。

また、日常生活の活動能力が低下することで、身体的 障害だけではなく、自立心の低下や脳障害の進行も懸念されています。

サルコぺニアの発生機序

サルコペニアの発生機序は明確にはなっていませんが、
現在のところ、
①末梢神経(運動神経の一部)支配の減衰
②筋タンパク合成の低下
③ホルモンの影響
④栄養素供給量の減少
⑤呼吸循環系の衰え
が考えられています。

このなかでも、「④栄養素供給量の減少」については、体脂肪(加齢とともに増加)から分泌されるレプチンが 加齢による食欲低下を助長させること、血中ビタミンD濃度の低下も筋肉減少と相関していること、味覚や嗅覚の低下、薬の影響が食欲低下を助長させることで必須アミノ酸の摂取不足が生じ筋肉が減少する、と考えられます。

サルコペニアの有病率

サルコペニアは日本だけではなく世界的に有病率が増加していると言われています。

例えば、アメリカの81歳以上の男性で31%、女性は45%(Lannzi-Sucich M,et al.,2002)、トルコの70歳以上の男性で85.4%(Behat G,et al.,2010)、イタリアの70歳以上男性で67.7%、女性で20.8%(Landl F,et al.,2012)となっています。

一方、日本では60歳以上の高齢者のうち男性は52.8%、女性は27.2%の方が罹患していると言われています (第27回健康医科学研究 助成論文より)。

また、サルコペニア肥満の方は一般高齢者で3%に過ぎなかったものの、要介護高齢者では21%に及んでいるとの報告もあります(ネスレ栄養科学 会議資料より)。

サルコペニアの予防対策方法

サルコペニアの予防対策方法としては、従来から言われている通り、運動と栄養補給の併用が効果的であることがわかってきています。
 
【運動トレーニング】
「筋力や筋肉量の向上のためのトレーニング」によって進行の程度を抑えることが可能ですので、歳を重ねる 毎に意識的に運動強度が大きいレジスタンス運動を行うことが大切です。

頻繁につまずいたり、立ち上がるときに手をつくようになると症状がかなり進んでいると考えられ、積極的に トレーニングを行うことがその後の生活の質的な安定に大いに役立ちます。特につまずきは、当人や周囲が注意力不足のせいだと思い込むことがあるため筋力の低下が原因と気付かないことが多く、注意が必要です。
日本整形外科学会では、ロコチェックとして7項目 (家の中でつまずいたり滑ったりする、階段を上がるのに手すりが必要等)を、ロコトレーニングとしてトレーニング方法4種類(開眼片脚立ち、スクワット等)を挙げていますので参考にしてください。
 
→ ロコモ度テスト

【栄養補給】
①摂取カロリー
特に高齢者に関しては、摂取カロリーが減少していくため、摂取カロリーを増やすことは重要です。
しかし、摂取カロリーを増やすだけではなく、運動を併用することが必須であると報告されています(Fiatarone MA,et al.,1994)。

②必須アミノ酸
経口摂取により筋肉量、歩行スピード、筋力が改善するとの報告があります(Kim HK,et al.,2011)。

③ビタミンD
栄養素のなかでも、特にビタミンDが単独でサルコペニアに寄与すると言われており(David S,et al.,2010)、 1日当たり800~1,000IU摂取することで筋力増加、転倒が減少することがわかっています(Bischoff-Ferrari HA,et al.,2004)。

一方で世界の半数の人がビタミンD不足との調査結果があり(Schilling S,et al.,2012)、今後ますますサルコペニア発症リスクは増加すると思われます。
 

 《参考》
厚生労働省 e-ヘルスネット、長寿科学総合研究事業研究班「サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサスの監訳とQ&A」

情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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