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ホーム > アンチエイジングトピックス > No.111 飲酒と認知症の関係

No.111 飲酒と認知症の関係


「適量の飲酒は健康に良い」と言われ、適度(日本酒1合/2日)に飲酒をする人の死亡率が低いという報告もありますが、適度だと思っている量でも身体に悪影響を及ぼし、昨今では「認知症」との関連も指摘されています。

大量の飲酒で認知症リスク増加

フランス国内で2008~2013年にかけて行われた成人入院患者を対象とした研究では、以下のような結果が報告されています。
  • 早期発症型痴呆の大部分はアルコール依存症(38.9%)か、アルコール使用障害の追加診断(17.6%)を受けていた。
  • アルコール使用障害のあるものは、そうでない患者と比較して、男性で3.36倍、女性で3.34倍も認知症発症リスクが高かった。
  • (Lancet Public Health. 2018 Mar;3(3):e124-e132)

毎晩1本のビールは「適度」じゃない?

アメリカの4地域に住んでいる65歳以上の心臓血管健康調査対象者5,888名の男女を対象としたアルコール摂取量と認知機能を調べたコホート研究の結果として、以下のことが発表されています。
  • 1週間当たりの飲酒量がビール※7本以上の場合、飲酒量が増加すると認知症リスクが高まる。
  • 1週間にビール1~6本程度の飲酒は、全く飲酒しない人や1週間に1本未満の人よりも認知症リスクが低い。
  • ※ビール1本:350ml
    (JAMA.2003 Mar 19;289(11):1405-13.)
日本での「適正な飲酒量」と「過度な(生活習慣病のリスクを高める)飲酒量」は以下のように定められており、ビール1本は適度な飲酒量と言えます。しかし、適度な飲酒であっても毎日1本以上飲んでいる場合は、認知症の発症リスクが高まる可能性があると考えられます。
男性 女性
適度な飲酒量
(1日当たりの純アルコール量)
20g 男性の1/2~1/3
過度な飲酒量
(1日当たりの純アルコール量)
40g以上 20g以上
※純アルコール20gの目安量:日本酒1合、ビール中瓶1本(約500ml)、ワイン240ml、焼酎25度110ml
平成29年「国民健康・栄養調査」の結果では、生活習慣病を高める過度な飲酒をしているものの割合は、男性で14.7%、女性8.6%となっており、男性では有意な増減はありませんが、女性では有意に増加していることが報告されています。

アルコールと認知症の関係

アルコールの大量摂取が原因と考えられる認知症を「アルコール性認知症」と呼びます。
やや高齢のアルコール依存症者では、高い確率で物忘れや認知症が見られ、例え若年であってもアルコール依存症がある場合は前頭葉機能が障害されていることは珍しくありません。
アルコールが関係する認知症の原因として、以下のようなものが挙げられます。
  • 脳血管障害(多発性脳梗塞など)
  • 頭部外傷(泥酔等による転倒)
  • 肝硬変
  • 糖尿病
  • 栄養障害(ウェルニッケ・コルサコフ症候群)
このことから、アルコールが関わる認知症の原因は多岐にわたると考えられます。
さらに、アルコール依存に伴う認知症の場合には長期間の断酒によって認知機能や物忘れが改善することもあることから、アルコールが脳の働きを阻害している可能性は高いと考えられます。

アルコールと栄養素

飲酒した場合の栄養障害として、ビタミンB1欠乏によって起こる「ウェルニッケ・コルサコフ症候群」がよく知られています。
これは、ビタミンB1が大量のアルコール摂取によって吸収障害されることや、アルコール代謝で消費されることにより慢性的に不足することで発症します。
また、日本人のビタミンB1摂取量は全ての年代で不足しているため、飲酒をしない人でもビタミンB1の欠乏には注意が必要です。
その他、ビタミンA、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンC、マグネシウム、亜鉛などは多量のアルコール摂取やアルコール依存症で不足しやすく、さらに肝疾患などにより ビタミンB2も不足しやすくなることが報告されています。
以上のことから、認知症を予防するためにも、飲酒をする場合には「適量」「適度な頻度」「バランスの良い栄養素の摂取」を心がけることが重要と言えそうです。
【参考】
厚生労働省サイト「健康日本21(アルコール)」
厚生労働省サイト e-ヘルスネット
平成29年国民健康・栄養調査結果の概要
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報サイト
厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」情報発信サイト
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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