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ピロリ菌専門外来


当院ではピロリ菌専門外来を行っております。

村田美重子先生


ヘリコバクター・ピロリ菌

ピロリ菌は1980年代に発見されました。人の胃に住んでいる細菌で、胃十二指腸潰瘍、胃がんなど、多くの疾患に関わっていることが明らかになりました。

ヘリコバクター・ピロリ菌について

ヘリコバクター・ピロリ菌は長さ2.5~5μm(5μm=1000分の5㎜)、直径0.5μmの小さいらせん型の菌で、強酸性の胃粘膜に住んでいます。

ピロリ菌はアルカリ性のアンモニアを作り出し、自分の周りの胃酸を中和するので、強酸性の胃粘液では溶けず、胃粘膜の表面にたどり着いて住み着くことができます。

武田薬品工業ホームページより

感染経路

ピロリ菌は主に5歳ころまでに感染します。大人になってからはあまり感染しません。
① 上下水道が完備していないところの飲料水(例:河川、土壌中にも存在)
② 口―口感染(例:乳幼児期の親からの口移しの食事。歯垢や唾液にもピロリ菌は存在)
③ 糞―口感染(例:昔、人の糞尿の肥料を使用した農作物に付着していた菌が口に入る)

上下水道の完備、衛生環境の改善により、ピロリ菌の感染者数はこの30年間で減少しました。
最近は20歳代の感染率は10%程度ですが、60歳以上の方の約45%がピロリ菌に感染しており、日本には約3000万人の感染者がいるといわれています。

ピロリ菌感染→萎縮性胃炎など→一番怖いのは胃癌の発生

ピロリ菌は注射針のような爪を持ち、胃粘膜の細胞に爪を刺しこんで取りつき、発がん物質や炎症を起こす物質を注入し続けますので、ピロリ菌が感染した胃は、慢性炎症を起こして赤くただれ、むくみます。
粘膜は炎症で壊されて、しだいに薄くなり、萎縮性胃炎の範囲が広がります。
萎縮性胃炎は胃癌の発生母地となります。胃癌の原因がピロリ菌であることが判明しており、ピロリ菌に感染していない胃にはほとんど胃癌ができません。
東アジア型のピロリ菌は欧米型より凶悪と言われ、これが欧米よりアジアに胃癌が多い理由の一つと考えられています。

胃癌以外にも、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、胃ポリープの一部、機能性ディスペプシア(胃もたれ、胃の不快感などの消化管運動異常)、特発性血小板減少性紫斑病などの血液疾患を引き起こすことがあります。

ピロリ菌は飲み薬1週間で除菌することができますので、できる限り早い段階で発見し、除菌治療を受け、胃癌をはじめとした病気を予防することが望ましいです。

診断

当院では以下の3種類の方法でピロリ菌がいるかどうかを調べます。
① 血液検査でピロリ菌の抗体を測定
② 尿素呼気試験(ふーっと吐く息で行う検査)
③ 胃カメラで胃粘膜を1㎜程 生検し、顕微鏡でピロリ菌がいるか見る

① ②の検査が一番精度が高いといわれます。
血液のピロリ菌抗体検査や尿素呼気試験が陽性であること、胃カメラで胃炎の範囲や程度を診断し、胃癌の発生がないことを確認すれば、除菌治療を開始します。

除菌治療と除菌効果判定について

2種類の抗生剤と、胃酸を抑える薬の3種類を朝、夕1回ずつ、1週間内服します。
当院では除菌効果が一番高いといわれるボノサップパック(タケキャブ、クラリスロマイシン、アモキシシリンのセット)による除菌を行います。
抗生剤の血中濃度をしっかり上げなければ除菌が失敗しますので、必ず忘れず内服してください。
また、薬の代謝に影響するため、除菌薬内服中は禁酒してください。
内服終了1か月後以降に、尿素呼気試験などで除菌の効果判定を行います。
抗生剤への耐性を持つピロリ菌がおり、約10~20%で除菌が失敗することがあります。
失敗した場合、抗生剤の一つを変更したボノピオンパック(タケキャブ、アモキシシリン、ニトロメダゾール)で2次除菌を行いますので、必ず、除菌が成功したか確認しましょう
2次除菌後も1か月後以降に尿素呼気試験などで効果判定を行います。2次除菌まで行えば、ほとんどの場合、除菌に成功します。
2次除菌までは健康保険の適応です。2次除菌が失敗した場合、自費になりますが、当院で3次除菌、4次除菌を行うことが可能です

除菌治療の副作用

味覚の変化や、抗生剤で腸内細菌叢が乱れて軟便や下痢がおこることがあります。
症状が軽い場合は1週間で治療は終わりますので、内服を継続してください。
まれに強い下痢や腹痛、血便などが出現することがあります。抗生剤による腸炎の可能性があるためすぐにご連絡ください。
また内服中や内服終了後に抗生剤アレルギーの症状として、蕁麻疹がでる場合があります。治療しますのでご連絡ください。

除菌後、胃癌の発生するリスクは下がるが、ゼロにはならない

ピロリ菌除菌後、何年もかけてゆっくりと胃粘膜の炎症は治まっていきます。
一度炎症で薄くなった萎縮粘膜は完全に元には戻りませんので、除菌後も胃カメラで見れば萎縮性胃炎を指摘されますが、除菌治療によって胃癌のリスクは確実に下がっています。
ただし、除菌成功後も萎縮性胃炎がある部分は胃癌の発生はゼロにはなりません。ピロリ菌除菌後10~20年たっても早期胃癌が見つかることがあります。
ですから、除菌後も油断せず、1年に1回の胃カメラ検査で胃癌が発生しないか、監視する必要があります。
早期胃癌は胃粘膜のわずかな変化で始まるため、胃のバリウム検査より、胃カメラ検査の方が早期発見につながります。
1年に1回、胃カメラ検査を行っていれば、万が一胃癌が発生しても、早期癌の段階で発見することができます。胃癌の根っこが浅く、胃粘膜内にとどまる早期胃癌の段階であれば、ほとんどの場合、外科手術ではなく、胃カメラを使って早期癌の部分のみを剥がしとるような内視鏡治療ができます。
特に、除菌後の方や萎縮性胃炎といわれたことがある方は、必ず胃カメラで経過を見てください。

将来の胃癌予防のためになるべく早くピロリ菌を除菌しましょう。
除菌後も油断せず、1年に1回の胃カメラで胃癌検診を受けましょう。

検診の胃バリウム検査で萎縮性胃炎を指摘された方へ

検診の胃バリウム検査では、今までは癌やポリープがなければ異常なしという判定でしたが、最近はピロリ菌感染による荒れた胃や萎縮性胃炎を認めた場合、胃癌予防と超早期の胃癌を見逃さないために、積極的に要精密検査という診断にするよう変化してきています。
ですから、バリウム検査で萎縮性胃炎を指摘された方は必ず胃カメラでの精密検査を受け、ピロリ菌感染していないか、調べてください。
今の日本の衛生環境ではピロリ菌は大人なってからはほとんどうつりませんので、一生に一度はピロリ菌感染の有無を調べておきましょう。
また、ピロリ菌除菌後の早期胃癌は、萎縮粘膜の凹凸や色の変化にまぎれて発生しますので、早期胃癌の段階で見つけるためには、除菌後の方は胃カメラでの定期検査が望ましいです。
胃カメラがどうしても苦手、抵抗がある、という方は、当院では静脈麻酔で眠った状態で胃カメラを選択する事ができますので、遠慮なくご相談下さい。

一生に一度はピロリ菌検査を受けましょう。
ピロリ菌除菌と1年に1回の胃カメラ検査こそが萎縮性胃炎の治療です。
胃癌は現在も日本で多い癌ですが、ピロリ菌除菌で予防でき、早期発見すれば内視鏡治療で完治できる時代なのです!

自由診療でのヘリコバクター・ピロリ菌の検査、除菌についてのご案内です。