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No.065  「腸」と栄養について

腸は「第2の脳」とも呼ばれるほど体の健康を維持するための多彩な働きを担っています。
近年、そうした腸の機能が見直され始め、腸と栄養に関する密接な関係も改めて注目を集めています。


腸の機能とは… 

腸は口から入った食物が通過していく管状の通り道ですが、単に「道」としての役割だけではなく、食物からのエネルギーや栄養素の吸収、外界からの侵入者の排除、さらにホルモンや神経系の調節などの機能を持ち合わせています。

腸というと、従来は主に「腸内細菌のバランスを整えることで整腸作用が得られる」ということが注目されていましたが、近年、腸に対する概念が大きく変わりそうな機能や、栄養との関わりが数多く報告され始めています。

腸の働き① エネルギー源を得る

腸の役割は、第1に食物をエネルギーに効率よく変えるため、順序よく分解し、吸収しやすい形にしていくことです。
ヒトの皮膚の表面積は畳1枚分(約1.8m2)であるのに対し、腸の表面積はテニスコート1枚分(約260m2)といわれ、食物を分解・吸収するためには大変な労力が必要とされることがわかります。

私たちヒトは、生命を維持していくために幅広いものを栄養に変えられる(雑食)ように進化してきました。  

その進化の裏で、腸は様々な種類の食物をエネルギーに変えるための工夫を行っており、そのひとつに、自力では消化しきれない食物を分解してもらうための「細菌との共生」があります。

腸の働き② 外からの攻撃から守ること 

腸の役割でもう一つ重要なのは、外界の敵から身を守ることです。

腸は外部から摂取した食物の通り道であることから、毒素を出す菌やウイルス、アレルゲンなどと直に接する環境です。
大半の菌やウイルスは酸性の強い胃酸によって死滅しますが、それでも撃退できない場合には、小腸の腸管免疫が抗体を送り出し、病原菌に対応します。

腸に関する最新の報告

近年の急激な環境の変化、食生活の変化に対し、私たちの腸や腸内細菌は上手く機能しにくくなっています。  
そんな中、最近では腸に関する様々な研究が行われる ようになりました。
腸内細菌と疾病の関連について最新の報告を、いくつかご紹介します。

○炎症性腸疾患・潰瘍性大腸炎 
胃がんや胃・十二指腸潰瘍の原因といわれるピロリ菌は有名ですが、炎症性腸疾患(IBD)や潰瘍性大腸炎(UC)も腸内細菌による感染症である可能性が研究者により調査され、近年、その原因菌が突き止められつつあります。
 

○肥満(体脂肪蓄積)
肥満者の腸内細菌叢は特異であるといわれています。
高脂肪・高糖質食の摂取が原因となり、肥満者特有の腸内細菌叢を形成し、肝臓や骨格筋での脂肪合成が促進され、食欲亢進、インスリン抵抗性が上がるなどの影響を与えていると考えられています。
 

○アレルギー疾患
アレルギー児と健康児の腸内細菌叢を比較したところ、 アレルギー児の腸内細菌の種類や量が、健康児と大きく異なることが示されました。
それ以降、腸内細菌とアレルギー疾患の関連性に注目が集まり、乳酸菌摂取によるアトピー性皮膚炎の発症予防効果も期待されています。
 

○1型糖尿病
腸内細菌叢が悪化することで腸管透過性が増し、本来、抗原とならないような食品中のタンパク質が抗原になってしまうことがあります。
抗原の侵入によって自己免疫疾患が引き起こされることにより、インスリンを作り出す膵臓が炎症を起こし、1型糖尿病になるとの仮説が立てられています。 
 

○アルコール性肝障害・非アルコール性肝障害
アルコール性肝障害(ALD)はアルコール(エタノール)によって腸管の透過性が増し、腸内細菌の多臓器への移行(BT)や腸内細菌由来のLPS(内毒素)が肝臓内に流入することが原因の一つだといわれています。  一方、非アルコール性肝障害(NASH)では肥満により腸内細菌叢のバランスが異常に崩れ、ALDと同じくLPSが増加、インスリン抵抗性やコリン代謝不全を起こし、NASHが発症すると指摘されています。
どちらも腸内細菌叢を正常化すプロバイオティクス 療法により脂肪性肝炎が抑制されると考えられています。

腸は消化管の一部

口から入った食べ物の行方について少し大きな画で見ると、食べ物は長い「消化管」を通過しながら分解、吸収、排泄されていることがわかります。

小腸や大腸は「消化管」の一部で、消化管は上から順に「食道」→「胃」→「小腸」→「大腸」となっており、それぞれが摂取された食べ物を最大限に有効利用するべく、日々せっせと働いています。

小腸上皮細胞の大切な働き

中でも小腸の上皮細胞は、体外からの栄養素(グルコース、アミノ酸、脂肪酸等)を吸収することが大きな仕事ですが、その他にも消化吸収や免疫等に関わる様々なホルモンを放出していることが知られています。

それらの重要な働きを担う小腸上皮細胞の機能が、不規則な食生活や炎症、病原体の侵入などによって衰えてしまうことが、様々な疾病の原因のひとつになると考えられています。

大腸での腸内細菌の働き

一方、大腸では栄養素の吸収は、小腸ほどは行われません。
しかし、大腸内にひしめくように存在する腸内細菌たちが活躍しています。

その数、約100兆個(約1~1.5kg)ともいわれる細菌たちは、小腸で分解できなかった栄養素を分解・吸収したり、乳酸や酪酸などの短鎖脂肪酸を産生して腸内のpHを弱酸性に保つことで悪玉菌(体にとって有用でない菌)の増殖を防いだり、大腸のぜん動運動を促して排泄物を肛門まで送り出す等、多くの大切な役割を果たしています。
大腸も小腸と同じく生活習慣の影響を大きく受けており、乱れた食生活や過度のストレス、運動不足は有用な腸内細菌(善玉菌)を減らし、悪玉菌を増やすという腸内環境のバランスを崩すことにつながります。

食物アレルギーの問題

近年、特に注目されている疾患に食物アレルギーがあります。

食物アレルギーの主な原因は、食べ物中のたんぱく質が小さなペプチドやアミノ酸まで分解されない状態で細胞内に入り込んでしまうことと考えられています。
通常は綺麗に整列している腸の上皮細胞が、食生活の乱れ等によって隣り合った細胞間に隙間があいてしまい、大きなたんぱく質でもその隙間をすり抜け、体内で異物と判断されることでアレルギーを発症すると推測されています。(リーキーガット症候群)

食物アレルギーもまた、腸機能の低下が原因でおこっているとも言えます。

腸機能が乱れる原因は? 

腸機能が乱れる原因は様々なことが考えられていますが、栄養に関しては以下のことが挙げられます。

 
○過度の脂肪摂取
過度の、また偏った脂肪酸の摂取により、腸の上皮細胞膜組成の変化や腸内細菌叢の変化が認められています。
細胞膜は脂質で構成されているため、摂取する脂肪の質が正常な腸機能を保つためには重要です。
加工食品等に多く含まれるリノール酸(オメガ6系脂肪酸)の摂取を控え、魚油(オメガ3系脂肪酸)の摂取を強化したところ、細胞膜リン脂質のアラキドン酸(オメガ6系脂肪酸)量が減り、細胞組成が改善したとの報告もあります。
また、高脂肪食摂取により胆汁酸[水に混ざらない油(脂肪)を血中に流すために必要]の分泌過多が原因で、胆汁酸が善玉菌(有益な菌)の細胞膜まで壊してしまい、そのため細菌叢が変化してしまうという説もあります。
 

○腸細胞エネルギー源の不足
小腸の主なエネルギー源はアミノ酸の一種であるグルタミンで、空腹時は筋肉組織から供給されると言われています。
食品では主に肉や魚などのたんぱく質に多く含まれているため、無理なダイエットや食が細くなりがちな高齢者などで、たんぱく質の不足がおこると腸の正常な水分調節や栄養素吸収に支障をきたす場合があります。
 一方、大腸は短鎖脂肪酸(特に酪酸)を主なエネルギー源としています。
短鎖脂肪酸は、善玉菌が食物繊維(難消化性糖質)を発酵・分解して産生させるため、食物繊維を多く含む食品(野菜、きのこ類など)の摂取が足りないと、腸粘膜の萎縮が促進し、腸機能が低下してしまう可能性があります。


最後に、栄養だけではなく、睡眠や運動によるホルモンバランスの改善もセンシティブでダイナミックな腸の機能を回復するためには非常に重要です。
  

【 参 考 】
医師薬出版:臨床栄養Vol.120 No.6 2012MAY「腸管と免疫 栄養」
講談社:上野川修一著「からだの中の外界 腸のふしぎ」
健帛社:「脂肪の功罪と健康」
太陽化学株式会社:「グァーガム分解物のお話」

情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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