No.160 コエンザイムQ10が不足すると…
以前、コエンザイムQ10の基本について取り上げましたが、今回はコエンザイムQ10の不足によって引き起こされる症状・疾患について紹介します。
コエンザイムQ10の基本【おさらい】
コエンザイムQ10(CoQ10)は生命活動に重要な補酵素(コ・エンザイム)で、体内でも合成できますが、20代をピークに体内での生成量は大幅に減少するといわれています。
エネルギー代謝や抗酸化などに関わるコエンザイムQ10には「酸化型」と「還元型」があり、摂取された酸化型コエンザイムQ10は体内で還元型に変換した後に利用されることから、最初から還元型コエンザイムQ10を摂取することで、変換力の衰えがちな中高年以降の方でも効率良く補うことができると考えられています。
コエンザイムQ10とインフルエンザ
一般的に風邪やインフルエンザの予防、治癒にビタミンCが必要とされています。近年ではインフルエンザの予防に、乳酸菌の摂取で腸内環境を整えることやビタミンDの積極的な摂取も勧められていますが、コエンザイムQ10の欠乏も免疫力の低下につながると言われています。
インフルエンザ患者のコエンザイムQ10濃度
治験薬投与前にランダム化臨床試験に登録された急性インフルエンザ患者群50名と対照群29名の血清コエンザイムQ10濃度を分析し、比較した結果、全体として、急性インフルエンザ患者群では血清CoQ10濃度が低いことが分かりました。
コエンザイムQ10と統合失調症
統合失調症の発症原因は正確にはよくわかっていませんが、統合失調症になりやすい要因として、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚など人生の転機で感じる緊張などがきっかけとなっているのではないかと考えられています。100人に1人弱がかかる病気とも言われており、統合失調症は身近な病気といえます。
統合失調症患者のコエンザイムQ10濃度
統合失調症 41名(男性 24名;女性 17名)を、抗精神病薬で未治療(グループ1:22名)患者群と、抗精神病薬服用中(グループ2:19名)患者群、同年齢の対照(対象群:23名)3つのグループに分け、空腹時の血液を採取したところ、統合失調症患者の赤血球コエンザイムQ10濃度は対照群より41~59%低いことがわかりました。
コエンザイムQ10と運動
体内の細胞のひとつひとつにあるミトコンドリアは、取り入れた糖質や脂肪などの栄養分を分解してエネルギー(ATP)を産生します。
コエンザイムQ10はミトコンドリア内で行われるATP産生のうち、最終経路の電子伝達系で電子の受渡しに利用され、コエンザイムQ10が不足すると電子が経路中に滞り、エネルギー(ATP)産生不足の原因になります。
アスリートのコエンザイムQ10血中レベル
大学生の運動選手43名と、年齢と性別が一致する健康な被験者25名を比較し、グルコースパラメーターや、抗酸化能力調査とともに、コエンザイムQ10の血中レベルを測定したところ、運動選手は健康な被験者よりも白血球(WBC)コエンザイムQ10が有意に低いことがわかり、コエンザイムQ10欠乏症に陥っている可能性があります。
コエンザイムQ10低下の要因と摂取量
スタチン系薬剤の服用でコエンザイムQ10が不足することが知られていますが、中でも脂質異常症の治療で使用されるロバスタチンでは、20~40㎎/日を12週間摂取し続けた結果、血中のコエンザイムQ10濃度が25%低下することがわかっています。
そのほかにも、加齢や喫煙、激しい運動、病気(うつ病、脂質異常症、偏頭痛)などでも、体内のコエンザイムQ10は減少しやすいとされています。
一方で、コエンザイムQ10の摂取量については明確な目安がありません。日本でコエンザイムQ10の耐容上限量は定められていませんが、海外では300㎎/日として定めていることが多いようです。国内のヒト試験でも1日摂取目安量として300mgまでは安全であるとのデータが得られています。ちなみに、日本国内における健康食品では、1日推奨量が60mgの製品が最も多く、300mgの製品も流通しています。また、米国においてはサプリメントとして1日推奨量が100mgの製品が最も多く流通しており、多いものでは1200mgの製品も流通しています。
【参考】
1)Maureen Chase et al, influenza 13巻、1号 2019年1月 P64〜70
2)みんなのメンタルヘルス総合サイト
3)M Imagawa Jpn J Psychiatry Neurol. 1989 Jun;43(2):143-5.
4)Chien-Chang Ho et al, J Int Soc Sports Nutr (2020) 17:5
5)Leo Marcoff 1, Paul D ThompsonJ Am Coll Cardiol. 2007 Jun 12;49(23)
6)コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼について
1)Maureen Chase et al, influenza 13巻、1号 2019年1月 P64〜70
2)みんなのメンタルヘルス総合サイト
3)M Imagawa Jpn J Psychiatry Neurol. 1989 Jun;43(2):143-5.
4)Chien-Chang Ho et al, J Int Soc Sports Nutr (2020) 17:5
5)Leo Marcoff 1, Paul D ThompsonJ Am Coll Cardiol. 2007 Jun 12;49(23)
6)コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼について
情報提供元:株式会社ヘルシーパス
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当院では多くの患者様の早期癌の発見等の最新医療をおこなってきました。
今後は、いかにして癌化しにくい身体を創り上げていくかを次の目標にしたいと心しています。
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