No.159 熱中症対策：栄養素編
気温や湿度が高くなる夏本番。熱中症には十分な注意が必要です。 熱中症の対策法はいくつかありますが、特に栄養素で役に立つものをご紹介します。
熱中症のメカニズム
通常、私たちの体では、放熱（皮膚表面から直接、熱を外気へ逃がす）および伝導（液体・固体に熱を移す）などにより体内に溜まった熱を体外へ逃がしています（熱放散）。しかし、外気温が高くなる時期は熱放散が小さくなり、汗の蒸発による気化熱で体温を下げる働きが中心となります。その反面、汗をかくと水分、塩分が体外に出てしまうことで血液の流れが悪くなり、体温の上昇が起こり、それが激しくなると熱中症となります。熱中症にならないためには、水分、栄養素の補給に加え、血漿タンパク質である「アルブミン」をしっかり作って血液が水分を保持する力を保つことも重要です。
アルブミンとその働き
アルブミンは、約600個のアミノ酸からできた比較的小さいタンパク質です。血漿タンパク質の60％を占めると言われており、スポンジのように様々な物質を貯め込み、栄養素、水分を全身に運ぶ役割と、水分を保持し、血液を正常に循環させるための浸透圧の維持という大きく2つの働きがあります。
アルブミンを増やすには
アルブミンを増やすには、しっかりとタンパク質を摂る必要があります。日本人の食事摂取基準（2020）によると、1日当たりのタンパク質摂取の推奨量は成人男性で65g/日、成人女性で50g/日です。タンパク質は、牛乳、豆乳、各種肉類、豆腐、納豆、チーズなどに多く含まれています。
暑い日こそ栄養補給が大切だけど…
熱中症対策としては水分補給、食事による栄養補給が重要ですが、暑い日は食欲が低下し、食事もさっぱりとした口当たりの良いものに偏ってしまい、タンパク質やビタミンB群の摂取が減ってしまいがちです。また。暑い日には、汗をたくさんかくことで体内から塩分（ナトリウム）、カリウムが失われ、さらには水溶性ビタミン（ビタミンB群、ビタミンC）も汗、尿と一緒に流れてしまいます。そのため、体力を落とさないようにするためにも、暑い日こそ、しっかりとした栄養補給が必要です。
熱中症予防に役立つ栄養素
汗の成分に含まれる電解質（ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム）以外に重要な栄養素を紹介します。
糖質
暑い日は特別な運動をしていなくてもエネルギーや体力を消耗します。エネルギーが不足すると夏バテしやすく、熱中症にもなりやすくなります。そのため、炭水化物や糖分など、エネルギー源となる栄養素を摂るようにしましょう。
ビタミンB1
ビタミンB1は糖質を代謝してエネルギーに変換し、疲労回復に重要な働きをするビタミンです。
| 多く含む食べ物 | 豚肉、大豆、玄米、ウナギほか |
ビタミンC
ビタミンC（以下VC）の不足は、疲れやすい、体がだるい、食欲低下の原因となり、免疫力まで低下してしまいます。VCは夏風邪をひかないためにも積極的に摂取したい栄養素です。また、紫外線の強い夏は活性酸素が大量に発生するため、コラーゲン生成、黒色メラニンの生成を抑えるためにも、VCは重要な栄養素となります。ほかにも、ビタミンA・Eと合わせて摂ると相乗効果が期待できると言われています。
| 多く含む食べ物 | ピーマン、パプリカ、ミニトマト、ゴーヤ、オクラ、モロヘイヤ、ジャガイモ、キウイ、レモンほか |
クエン酸
ミトコンドリア内のTCA回路の働きを活発にする働きがあり、クエン酸の継続的な飲用で日常生活や運動後の疲労感を軽減することが報告されています。また、カルシウム、マグネシウム、鉄など吸収しにくいミネラルとキレートし、吸収しやすくするほか、胃腸の活動を活発にし、食欲増進につながるといった効果も期待できます。
| 多く含む食べ物 | 梅干し、レモン、ゆず、オレンジほか |
まとめ
熱中症対策は、旬の夏野菜を上手に活用し、季節を楽しみながら栄養素と水分を補うことをお勧めします。特にビタミンCは、日差しが強いときの紫外線ダメージから肌を守る抗酸化作用と熱中症対策の両面で効果が期待できます。
なお、熱中症対策に、スポーツドリンクを多飲される方もおられますが、これらは糖分を多く含んでおり、肥満、糖尿病の原因になるため、摂り過ぎにはご注意ください。
【参考】
熱中症環境保健マニュアル2018 環境省
熱中症診察ガイドライン2015 日本救急医学会
熱中症対策BOOK 熱中症予防声かけプロジェクト×環境省
「熱中症を予防する食事の摂り方」資料 小川昭子
「Vol.51：厳しい残暑に油断大敵 熱中症の起こる原因を知り、水分と栄養を摂って熱中症対策を。」医療法人澄心会豊橋ハートセンターサイト
一般社団法人日本血液製剤協会サイト
熱中症環境保健マニュアル2018 環境省
熱中症診察ガイドライン2015 日本救急医学会
熱中症対策BOOK 熱中症予防声かけプロジェクト×環境省
「熱中症を予防する食事の摂り方」資料 小川昭子
「Vol.51：厳しい残暑に油断大敵 熱中症の起こる原因を知り、水分と栄養を摂って熱中症対策を。」医療法人澄心会豊橋ハートセンターサイト
一般社団法人日本血液製剤協会サイト
情報提供元：株式会社ヘルシーパス
当院におけるアンチエイジング（抗加齢療法）の取り組み
当院では多くの患者様の早期癌の発見等の最新医療をおこなってきました。
今後は、いかにして癌化しにくい身体を創り上げていくかを次の目標にしたいと心しています。
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アンチエイジング（抗加齢療法）を始めるにあたって
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