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ホーム > アンチエイジングトピックス > No.107 MCI(軽度認知障害)とは?

No.107 MCI(軽度認知障害)とは?


年々、認知症が増加しており、その予防が急務の課題となっています。
認知症の一歩手前の段階であるMCI(軽度認知障害)の状態なら正常に回復する可能性があるという研究結果がまとめられ、注目されています。
今回はMCIについてまとめます。

MCI(軽度認知障害)について

MCIとは、英語で軽度認知障害を意味する「Mild Cognitive Impairment」の単語の頭文字に由来しています。
主な症状は「物忘れ」で、細かな定義は以下の通りです。
<MCIの定義>
  1. 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
  2. 本人または家族による物忘れの訴えがある。
  3. 全般的な認知機能は正常範囲である。
  4. 日常生活動作は自立している。
  5. 認知症ではない。
簡単に言うと、記憶力に障害があって物忘れの自覚があるけれども、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はない(あっても軽度のもの)場合をMCIといいます。
MCIの人は年間で10~15%が認知症に移行するとされており、認知症の予備軍と考えられています。
一方で認知症とは、記憶障害など脳の認知機能障害により、日常生活に支障をきたすようになる疾患です。
認知症になって症状が進行してしまうと、治療は難しいと言われています。

MCIの判定

MCIは上記の定義の状態にプラスして客観的な検査による記憶障害の有無、他の認知機能(言語、視空間認知、注意、実行機能など)障害の有無で4タイプ(健忘性MCI単一領域、健忘性MCI複数領域、非健忘性MCI単一領域、非健忘性MCI複数領域)に分類されます。

MCI判定のためのフロー

MCI早期発見のための検査方法

MCIを早期発見するための検査方法には、問診や血液検査などがあります。
ここでは、医療機関で取り入れやすいスクリーニング検査をご紹介します。

①MMSE(Mini Mental State Examination)

30点満点の11の質問からなり、見当識(時間、場所)、記銘、注意、計算、再生、言語(呼称、復唱、命令、指示、書字)、図形模写などを含む。27点以下はMCIが、24点未満は認知症が疑われる。
日本語版のMMSEは数種類公表されているが、MMSE-J(MMSE-Japanese 精神状態短時間検査)は著作権、信頼性、妥当性の確認がなされている。

HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)

年齢、見当識(時間、場所)、3単語の記銘と遅延再生、計算、数字の逆唱,物品記銘、言語流暢性の9項目で構成されている。
30点満点であり、20点以下で認知症が疑われる。
動作性検査がないため、血管性認知症による麻痺やレビー小体型認知症、運動機能に障害をきたしている可能性がある人にも使用可能。

MoCA-J(Montreal Cognitive Assessment)

多領域の認知機能(注意機能、集中力、実行機能、記憶、言語、視空間認知、概念的思考、計算、見当識)を30点満点で評価する。
25点以下でMCIが疑われ、MMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出すことができると言われている。
上記の検査はいずれも、集団の中から問題がありそうな人を効率的に選別するために行われる所要時間10分程度のスクリーニング検査です。
これらの検査の成績のみで認知症やMCIの診断は困難であるため、画像検査、血液検査、生理的検査などを組み合わせた総合評価が必要であると考えられています。
MCIから認知症に移行しないためには早期発見と対策が重要だと言われています。
今回はMCIとはどんな状態でどんな検査方法があるのかについてまとめました。
次回は「MCIの対策」についてまとめます。
【参考】
基礎からわかる軽度認知障害(MCI)(医学書院)
厚生労働省サイト e-ヘルスネット
相談e-65.netサイト 軽度認知障害(MCI)を知る
一般社団法人 日本老年医学会 サイト
医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-2 認知症予防のための検査特集 2017神経心理学的検査
精神状態短時間調査-日本語版(MMSE-J)の妥当性と信頼性に関する再検討(認知神経科学 Vol.18 No.3・4 2016)
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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