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ホーム > アンチエイジングトピックス > No.086 不眠と栄養素

No.086 不眠と栄養素


いつもなかなか寝付けない、寝てもすっきりしない、朝早く起きてしまう等の自覚症状は、不眠症の可能性があります。
今回は、不眠のメカニズムのひとつと関連するといわれている食品・栄養素についてご紹介します。

日本での不眠は5人に1人?

2012年に発表された文献レビューの結果、日本における睡眠障害のひとつである慢性不眠の有病率は約20%であり、5人に1人は長期に渡る不眠に悩んでいると報告されました。
また、厚生労働省の調査では睡眠薬の処方率は一貫して増加を続け、成人の20人に1人が服用している(3か月処方率4.8%)といわれており(2009年調べ)、今や注目されるべき疾患のひとつとなっています。

日本睡眠学会による不眠症の定義とは?

不眠症は過眠症とともに睡眠障害の一種で、要因は多岐に渡ります。
日本睡眠学会によると、下記1、2、3のすべての項目に当てはまると不眠症であるとされます。

1
(いずれか1つ以上)
A 夜中、寝付くのに普段より2時間以上かかる
B 一旦寝ついても夜中に2回以上目が醒め、朝起きたときにぐっすり眠った感じが得られない
C 朝、普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう
2 上記A・B・Cいずれかの不眠の訴えが週2回以上見られ、少なくとも1ヵ月間は持続する
3 不眠のため自らが苦痛を感じる、または、社会生活や職業的機能が妨げられる
なお、精神的なストレスや身体的な苦痛による一時的な不眠は、「不眠症」ではないとされています。
しかし、不眠症ではなくとも睡眠不足によって起きた脳の疲労は眠りでしか取り戻せないといわれており、睡眠をしっかりとることは健康に繋がります。

眠りのメカニズム:アデノシン

脳が覚醒から睡眠に移行するためには、「睡眠物質」と呼ばれる物質が脳内に十分量蓄積されることが必要だと考えられています。

「睡眠物質」のひとつとしてエネルギー源のATPの分解物である「アデノシン」という物質があり、ししおどしを例とすると、脳内(竹)にアデノシンという水が十分に溜まることで、水が開放されます(睡眠が促され、脳内アデノシン量が減る)。

しかしながら動物にとって睡眠は非常に重要な機構であるため、アデノシンのみが睡眠に必要な物質でないことも研究で立証されています。

カフェインを代謝しづらい体質?

コーヒーやお茶に含まれるカフェイン摂取による不眠を感じる人は、そうでない人に比べ、カフェイン代謝に時間がかかることが知られています(カフェイン半減期:7.4時間vs.4.2時間)。
さらに、不安症状のある人は、よりカフェインに敏感であることも調べられています。

人工甘味料アスパルテームの副作用か?

加工食品によく利用されるアスパルテームの副作用として短期的な不眠症状があることが報告されています。

アスパルテームは胃腸で速やかにアミノ酸であるフェニルアラニン、アスパラギン酸、そしてメタノールに分解されますが、フェニルアラニンは興奮性神経伝達物質のノルアドレナリン等の材料となるチロシン前駆物質であるため、アスパルテームの摂り過ぎは脳が覚醒しやすくなると推測されますが、その詳細メカニズムは不明です。

不眠に良い栄養素

グリシン

アミノ酸のグリシンは筋肉の緊張を抑えるほか、深部体温を下げる作用により睡眠を誘導するといわれています。
入眠前に手足が一時的に熱くなるのは、熱を発散させることで深部体温を下げ、眠りやすい環境を整えていると考えられています。
よって、寝付きにくい場合は体を熱くしすぎず、適度に手足を温めることが重要です。

L-トリプトファン

アミノ酸の一種であり、睡眠時に分泌される「メラトニン」を作り出す材料になると知られています。
16名の重度不眠症患者に1gのL-トリプトファンを就寝30分前に1週間摂取させた試験では、中途覚醒が1~2回の群では改善が見られず、中途覚醒を3~6回するという群では100%改善が見られたという興味深い報告があります。
(Sleep 1983;6:247-256)
また、同アミノ酸を2日間のみ摂取させた試験では効果が表れなかったため、ある程度の摂取期間が必要との意見もあります。


その他、マグネシウム不足によっても不眠が引き起こされると報告されています。
ATP産生も眠りには不可欠であるため、糖代謝等に必要なビタミン・ミネラルの積極的な補充もおすすめです。


【参考】
厚生労働科学研究班:睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン
保健医療科学2012Vol.61 No.1 p3-10
日本睡眠学会サイト
櫻井武著:睡眠の科学(講談社)
GABY:Nutritional Medicines
内閣府 食品安全委員会サイト
厚労省 e-ヘルスネット



情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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