超音波検査を使用した膵臓癌の超早期発見を目指して
2026.04.13
膵臓がんは「見つかりにくいがん」の代表格とされています。しかし、適切な検査を活用すれば、治癒を目指せる段階で発見することが可能です。
当院では、超音波検査を駆使した「超・早期発見」に力を入れています。その理由や検査の重要性について分かりやすく解説します。
膵臓がんの超早期って
「膵臓癌取扱い規約(第7版 金原出版)」では、「早期膵臓癌」の定義は記載されていません。そのため、手術によって切除可能な膵臓癌を早期発見と定義します。
我々は、超音波+早期発見 = 超・早期 として検査に望んでおります。
切除可能な膵臓がんとは
腫瘍が膵臓に留まって(限局して)おり、周囲血管に浸潤していない。リンパ節転移や遠隔転移が認められないものと考えられます。
成人における正常な膵臓の大きさは、長さ平均15cm、幅3cm、厚さ2cmほどです。
すなわち腫瘍の大きさが2㎝を超えてくると、膵臓周囲に浸潤する可能性が高くなります。
超音波検査の目標は、2㎝以下の腫瘍を見つけ出す事
超音波検査で膵臓がん発見のために注目している所
①腫瘍の存在
➁膵管の拡張
③のう胞の存在
超音波検査の短所と、それを補う工夫
超音波検査には、「骨や空気の後ろが見えない」「視野が狭い」「検者の知識と経験が必要」「主観的な検査である」という短所もあります。
そのため当院では、膵臓全体をしっかりと観察できるよう、検査時に体位変換を行い、さまざまな方向からアプローチする工夫を行っています。
当院での膵臓がん発見実績
2017年4月から2021年11月までに、当院の超音波検査で指摘され、他院で確定診断となったのは25症例でした。そのうち、詳細なご報告をいただいた23症例の内訳は以下の通りです。
発生部位
膵頭部: 12例
膵体部: 4例
膵尾部: 7例
膵臓癌の大きさ
2cm以下: 6名
2cm超〜4cm以下: 13名
4cm超〜6cm以下: 3名
6cm超: 1名
2cm以下の腫瘍が発見されたきっかけ
腫瘍が2cm以下という早い段階で見つかった6名の方は、どのようなきっかけで受診されたのでしょうか。
・血液検査で腫瘍マーカーの値が徐々に上がってきた(1人)
「胃のあたりに何となく違和感がある」と胃の検査希望で受診された(2人)
・もともと膵嚢胞(すいのうほう)があり、経過観察中だった(2人)
・便秘を主訴に来院された(1人)
このように、25症例の多くは、ほとんど症状がない段階(またはちょっとした体調の変化や経過観察中)に超音波検査で見つかっています。
逆に、何日も続くような強い症状が出現してから超音波検査を行った結果、すでに進行していて切除が難しいケースも少なくありません。
切除可能な「超・早期発見」のために大切なこと
・2cm以内の腫瘍を見つけ出す検査への熱意と技術
・「ちょっとした違和感」の段階で、早めにクリニックへお越しいただくこと
早期の膵臓がんは、ほとんど体調の変化を認めません。
健康診断や日常のちょっとした体調の変化の際にも、ぜひ腹部超音波検査をご活用ください。
「少し気になるけれど、こんな症状で病院に行っていいのかな…」と悩まれる方もいらっしゃいますが、クリニックに足を運んでいただくことは恥ずかしいことではなく、とても重要なことなのです。
令和4年度田中消化器科クリニック医療講演会より
講師:佐藤慎祐 診療放射線技師


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