No.083 ビタミンの過剰摂取
2026.04.20
ビタミン・ミネラルを個人の判断などで過剰に摂ってしまった場合、どのような健康被害が起こりうるのか、またその摂取量はどれくらいなのか、についてまとめました。今回はビタミンについてご紹介します。
ビタミン過剰摂取の考え方
ビタミンの摂取により、栄養不足が原因の不定愁訴等の改善や疾病予防が期待できる一方、過剰摂取には注意が必要です。厚生労働省が発行している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、「耐容上限量」という「過剰摂取による健康被害リスクの可能性が考えられる量」を定めており、その数値は実際に健康被害が報告された摂取量等から算出されています。
例:ビタミンAの耐容上限量とNOAEL、LOAEL
(30歳女性の場合 単位;μgRAE)
| 耐容上限量 | 健康障害非発現量(NOAEL) | 最低健康障害発現量(LOAEL) |
| 2,700 | 6,000 | 13,500 |
1988年の報告で、3人の家族が6,000~13,500μgRAEのビタミンAを7~10年間摂取し、うち1名の肝臓の生体検査を行ったところ、ビタミンAの毒性によると思われる肝障害が認められた(Hepatology 1988;8:272-5)との報告を 受け、厚生労働省は最低健康障害発現量を13,500μgRAEとし、不確実性因子を5として耐容上限量を2,700μgRAEに定めました。
ビタミンの過剰摂取で疾病をきたす量
ビタミンの摂取により疾病が起こったと報告された 最低量(最低健康障害発現量:LOAEL)を中心に、実際にビタミン類を過剰に摂取した場合、どのような障害が 起こるのか?について、世界中の被験者たちが体を張って調べた報告を表にまとめました。
日々の摂取量は、以下の値にできるだけ近づかないことが望ましいとされています。
なお、以下の報告よりも 少ない摂取量でも個人により障害が現れる可能性は考えられますのでご注意ください。
ビタミンの過剰摂取量と症状
| 栄養素 | 1日の摂取量 | 主な症状 | 設定機関 |
| ビタミンA | 13,500μgRAE | 肝臓障害、頭痛、皮膚の落屑、脱毛、筋肉痛 | 日本(厚労省) |
| (厚労省) | |||
| 7,500μg | 出生時欠損 | アメリカ(CRN) | |
| ビタミンD | 1,250μg | 高Ca血症 | 日本(厚労省) |
| ビタミンE | 不明 (800㎎で神経障害の報告なし) | 日本(厚労省) | |
| ビタミンK | 不明 (45㎎で神経障害の報告なし) | 日本(厚労省) | |
| ビタミンB1 (チアミン塩酸塩) | 不明 (3,000㎎以上の毒性が示されている) | 頭痛、いらだち、不眠、速脈、接触皮膚炎、かゆみ | 日本(厚労省) |
| ビタミンB2 | 不明 (400㎎で健康障害の報告なし) | 日本(厚労省) | |
| ナイアシン (ニコチン酸アミド) | 不明 (25mg/kgで健康障害の報告なし) | 日本(厚労省) | |
| 3,000㎎ | 胃腸、肝臓障害 | アメリカ(CRN) | |
| パントテン酸 | 不明 (単独摂取での試験無し) | 日本(厚労省) | |
| 不明 (2,000㎎で健康障害の報告なし) | アメリカ(CRN) | ||
| ビタミンB6 | 数グラム (300㎎で副作用はみられず) | 感覚性ニューロパシー | 日本(厚労省) |
| 200㎎ | 神経障害 | アメリカ(CRN) | |
| ビオチン | 不明 (200㎎で健康障害の報告なし) | 日本(厚労省) | |
| 不明 (9㎎で健康障害の報告なし) | アメリカ(CRN) | ||
| 葉酸 | 不明 (5,000μgで神経障害の報告なし) | 日本(厚労省) | |
| 5,000μg | 神経障害 | アメリカ(US IOM) | |
| ビタミンB12 | 不明 (500μgで神経障害の報告なし) | 日本(厚労省) | |
| 不明 (3,000μgで神経障害の報告なし) | アメリカ(CRN) | ||
| ビタミンC | 不明 (3~4gで下痢の報告あり) | 日本(厚労省) | |
| 3,000㎎ | 胃腸障害(刺激、鼓腸、下痢) | アメリカ(CRN) | |
| (CRN) | |||
※CRN…米国栄養評議会(Counsil for Responsible Nutrition)
※US IOM…米国医学研究所(US Institute of Medicine)
このように日本とアメリカでも設定値が大きく異なるのは、どの文献を参考にしたのか?の違いであると言えます。また、疾病の治療等には大量投与が有効である場合もありますので、過剰摂取の可能性も加味しながら摂取量をコントロールしていく事が大切です。
また、水溶性ビタミンよりも脂溶性ビタミンは蓄積性が高いため、過剰摂取にはより気をつける必要があります。
【参考】日本人の食事摂取基準(2015年版)、第3版ビタミン・ミネラルの安全性
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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