No.004 透析患者さんは、低栄養状態?その対策は?
2026.05.22
透析患者さんは、低栄養状態に陥りやすいと言われています。その原因と対策についてご紹介します。
透析患者さんの栄養状態
透析患者さんは、低栄養状態に陥りやすいと言われていますが、その原因には、下記のようなものがあります。
1.エネルギー、たんぱく質の摂食不足(不適切な食事指導、食欲低下、歯の障害など)
2.透析による栄養素の喪失
3.身体機能の低下
4.透析不足(尿毒症の亢進による)
この中で、「透析による栄養素の喪失」では、アミノ酸が有名です。アミノ酸は1回の血液透析で6~13g、腹膜透析では1日で2~4gの喪失があると言われています。通常では、これが臨床的に問題になることはないとされていますが、経口摂取のままならない低栄養状態の患者では栄養障害を促進してしまいます。タンパク質は血液透析では喪失しませんが、腹膜透析では1日で5~15gの喪失があると言われています。
また、微量栄養素では、ビタミンB1、B2、B6、葉酸、ビタミンCなどの水溶性ビタミンの喪失が顕著で、透析患者は、これらの微量栄養素が欠乏する可能性が高いといえます。
(注)透析液の説明書でも、副作用の項目に「アミノ酸、水溶性ビタミンの著しい欠乏」と書かれています。腹膜透析液ペリセート等
透析による栄養素(ビタミンミネラル)の喪失
透析により喪失しやすい栄養素と、その場合の欠乏症は次の通りです。
ビタミンB1
透析前後では、ビタミンB1の血中濃度は40~50%低下するとの報告があります。
ビタミンB1が不足すると、食欲不振、だるさ、疲労感、息切れ、めまい、頭痛などの体調不良が起こりやすくなります。
ビタミンB6
透析患者さんの血中および赤血球中のビタミンB6が低下することは、多くの報告があります。
ビタミンB6は、たんぱく質や脂肪の代謝を促す補酵素として知られていますが、他にも100種類以上もの酵素の補酵素として働いています。また、インシュリンやグルカゴンの合成にも関わっているため、糖尿病の場合には、特に欠乏には注意が必要です。
葉酸
1回の透析で、10~250μgの葉酸を喪失すると言われています。日本人の1日の平均葉酸摂取量は約300μgです。葉酸は、たんぱく質、核酸の合成に関わり、造血とも関係が深いビタミンです。不足すると、貧血、腸炎、口内炎が起こりやすくなります。
ビタミンC
1回の透析で80~280mgのビタミンCを喪失すると言われています。日本の推奨量は、1日100mgです。ビタミンCは、コラーゲンの合成、免疫力増強、コレステロールの低下等に大きな働きをしています。不足すると、壊血病、風邪、肉体疲労が起こりやすくなります。
もともと微量栄養素は欠乏しやすい?
透析患者さんは自己の判断で「カリウムが多いから果物や野菜をあまり食べない」という摂取制限をしてしまう場合もあるようです。
果物や野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な食材ですので、これらの摂取を制限してしまうと、ビタミンミネラルはさらに欠乏しやすくなってしまいます。
カルニチンも透析で欠乏
肉類や乳製品に多く含まれるカルニチンは、脂肪酸のβ-酸化のために欠かせない成分ですが、透析患者は食事制限や腎臓での合成障害により十分な量を確保することができず、また分子量が小さい(161.20)ため透析時に喪失し、欠乏していることが知られています。
(注)1回の透析で血漿中のL-カルニチンの70~80%が除去されるので、多くの透析患者では体内のL-カルニチン量が不足していると報告されています。
さらに、透析によるカルニチンの欠乏は、筋力低下や痙攣などの筋症状との関連も注目されています。
透析になる前の予防策
日本透析医学会のデータによると、新たに透析を始めることになった患者の多く(42%)は、糖尿病性腎症と言われています。糖尿病をケアすることで、透析患者を減らすための栄養学的なアプローチには、下記の栄養素が期待されています。
ビタミンC
細胞内の糖がソルビトールに変換されるのを防ぎ、活性酸素によるたんぱく質の損傷を抑える効果がある。
ビタミンB群
糖の代謝に不可欠で、そのうち、どれか一つが欠けても問題が現れる。
クロム
インスリンと協力して、血液中の糖が細胞膜を通過して細胞の中に入るように促す働きをもつ。クロムが不足するとインスリン抵抗性が上がり、血糖値が上がる傾向がある。
参考
腎不全を生きる 財団法人日本腎臓財団 Vol.33,2006 羽田茲子 東京女子医科大学東医療センター 栄養課・管理栄養士 松村 正巳 石川県立中央病院腎臓内科 臨牀透析 Vol.19 No.04
松本芳博、他:透析患者のカルニチン欠乏. 現代医学. 35: 431-438, 1998 他
日清オイリオグループ(株)広報
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キリンファーマ(株)
情報提供元:株式会社ヘルシーパス (2016.9.30)

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