下痢症・便秘症・過敏性腸症候群(IBS)
2026.04.10
緊張するとおなかの調子が悪くなる」「通勤・通学の途中でトイレに駆け込む」「下痢や便秘を繰り返している」といったお悩みはありませんか?
これらは、日々のストレスや食生活の変化が大きく関係する「過敏性腸症候群(IBS)」や排便異常のサインかもしれません。

過敏性腸症候群(IBS)とは
過敏性腸症候群とは、大腸に炎症や腫瘍などの原因となる異常が見つからないにもかかわらず、腹痛や腹部膨満感(おなかの張り)を伴う便通異常(下痢・便秘)が長期間続く病気です。
・下痢症:排便回数が1日に3回以上ある・軟便または水様便・急激な便意がある。
・便秘症:排便回数が週に3回以下・硬便または兎糞状便・排便困難な状態。
・過敏性腸症候群(IBS):(下痢型・便秘型・交代型):腹痛・残便感・粘液の排出・腹部膨満感・腹部膨満・腹部膨隆など。排便によって症状が改善するのが特徴。
排便異常がもたらす影響
下痢や便秘は日常よく見られるため「たかが便秘」「下痢くらいすぐにおさまる」と軽視されがちですが、持続する症状は大変苦痛であり、仕事や勉学に多大な影響を及ぼします。また、おなかの不調だけでなく、食欲低下、肌荒れ、頭痛や肩こり、イライラ、不眠といった全身の症状を引き起こすことも少なくありません。
一般的には若年層から中年層に多い疾患と考えられがちですが、現代社会では高齢者も多くのストレスを抱えており、高齢者の症候群としても多くみられます。
過敏性腸症候群(IBS)の臨床症状
・何週間も下痢や便秘が続いている
・よく腹痛や腹部膨満感(お腹の張り)に悩まされる
・急に下痢でお腹が痛くなり、トイレに駆け込むことがよくある
・排便で腹痛が和らぐ
・下痢と便秘を交互に繰り返す
・排便の後、残便感がある
・便秘がちで、ウサギの糞のようなコロコロした便がでる
排便以上を引き起こす原因
ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスによる緊張状態(交感神経優位)は、快便の大敵です。仕事や学業、家族の問題などの精神的ストレスや、過労、不規則な食生活、運動不足、嗜好品・薬物などの身体的ストレスが誘因となって症状を引き起こします。海外旅行や引っ越しなど、急激な生活環境の変化がストレスになることもあります。
厚生労働省の調査によると、下痢は小・中学生頃から働き盛りの世代に多くみられ、便秘は中高年〜高齢者に多いことがわかっており、腸に及ぼすストレスには生活環境が深く関わっています。
食生活の欧米化
日本食の基本は「穀類+大豆+野菜+魚介類」であり、日本人は米をはじめとする炭水化物が主成分の穀物に支えられて来ました。しかし、戦後、日本人の食生活は一変しました。昔ながらの日本食の特徴であった炭水化物の割合が減少しつづけ、食生活の欧米化が進み、脂質や動物性タンパク質の摂取量が年々増加しています。
プロバイオティクス(ビフィズス菌)の減少
腸内細菌叢は、ヒトの一生を通して一定の変動を示すことがわかっています。 出生後数日間は、好気性菌である大腸菌や腸球菌などが優勢ですが、1週間ほど経つと、母乳や人工乳に含まれる乳糖などのビフィズス増殖因子の影響などにより、善玉菌の代表であり、嫌気性菌であるビフィズス菌が最優勢となります。
離乳食を経て成人の食生活に移行するのに伴い、バクテロイデス・ユウバクテリウムなどの嫌気性連鎖球菌が最優勢となり、ビフィズス菌がこれらに続く形となって優勢菌群を形成し、このまま中年期まで安定しますが、高齢期に入り、悪玉菌の一つであるウェルシュ菌などが増殖して来ます。こうして、腸内細菌叢の「老化」が進行します。つまり、ビフィズス菌が減少し、悪玉菌が優勢になるのは、言わば「腸内細菌叢の老化現象」なのです。悪玉菌の天下となった腸内では腐敗が進行し、有害物質がさかんに生産されます。年をとると便のにおいがきつくなるのはこのためです。
有害物質は血液によって全身に運ばれ、体の老化をますます促進させます。
腸内環境を整える「プロバイオティクス」と「食物繊維」
プロバイオティクス(ビフィズス菌・乳酸菌など)の働き
1. 病原菌や酵母菌の増殖を抑制する(乳酸、H2O2、バクテリオシンの産生)
2. GALTを抑制し慢性炎症性免疫反応を低下させる
3. 栄養素の消化を助ける酵素(ラクトースなど)を分泌する
4. 血中の白血球や抗原特異抗体を上昇させ、分泌IgAを増加させる
5. 短鎖脂肪酸を産生し腸管のエネルギー源となり、腸管の再生を促し大腸ガンの発生を抑制する
6. IBSの発症を抑える
7. 各種ビタミン(B群,A,K)を産生する
8. 抗がん作用がある(低pH,免疫能の亢進、病原体の排除)
食物繊維の役割
1. 便の量を増やし、腸の運動を亢進させる
2. コレステロールの再吸収を阻害し、善玉菌を活性化させる
3. 善玉菌を増やして免疫力を高める
4. 少量の食事でも満腹感をもたらす
5. 食後の急激な血糖上昇を抑制する
水溶性植物繊維
果実、野菜(可溶性ペクチン)
大麦、きのこ(グルカン)
こんにゃく(グルコマンナン)
海藻(アルギン酸)
軟骨、ふかひれ(コンドロイチン硫酸)
不溶性植物繊維
穀類、野菜(セルロース)
穀類(ヘミセルロースA、C)
不溶性ペクチン(野菜)
ココア、豆類、根菜類(リグニン)
カニやエビの甲殻(キチン・キトサン)
ふかひれ(コラーゲン)
過敏性腸症候群(IBS)の治療と日常生活の改善ポイント
食事と日常生活の指導とともに、症状に合わせた治療薬が処方されます。日々の生活では以下のポイントを意識してみましょう。
1. 食物繊維をたくさん食べましょう(一日25グラム以上)
2. 乳酸菌、ビフィブス菌を多く含んだ食品を摂取しましょう
3. 1日30分以上のウォーキングや運動をしましょう
4. ぐっすり睡眠をとりましょう
5. ストレス解消法をみつけて実践しましょう
6. 薬物療法(症状に合わせて根気よく続けることがポイントです)
「たかが下痢や便秘」と我慢せず、つらい症状が続くときは、どうぞお気軽に当院へご相談ください。

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