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腸内細菌検査を始めました


2019年4月1日発売 家庭画報5月号 224~225ページに田中院長が掲載されました。

抗生物質の乱用は腸内環境を乱すもと
年齢とともに、細菌に感染しやすくなり、医師から抗生物質を処方されることもある家庭画報世代。
「明らかに細菌感染が疑われる場合、抗生物質は有効ですが、症状の原因となっている細菌を排除するだけでなく、腸内に棲息している細菌まで発育を抑えてしまいます。抗生物質を飲むと下痢や便秘を起こしやすいのは、そのためです」と田中 孝先生。抗生物質を使いすぎると、原因菌が抗生物質に強い耐性菌に変化してしまう可能性も。最近の医療の現場では、風邪をひいてもむやみに抗生物質を処方しない、なるべく長期にわたって処方しないことが推奨されています。
「細菌というと悪者のイメージがつきまといますが、私たちが健やかに生きていくうえで欠かせない細菌があります。それが、腸内に棲息する細菌です。ヒトの腸内には500~2000種類、100兆個以上もの細菌が棲息しており、食べ物の消化、栄養の吸収だけでなく、さまざまな働きをしています。その働きや特性を知っておくと、安易に抗生物質に頼ることはなくなるでしょう」

腸内細菌はバランスと多様性が重要
腸内に棲息する細菌は、それぞれ種類ごとにまとまって、腸の壁に存在し、顕微鏡で腸内をのぞくと花畑のように見えることから、腸内フローラと呼ばれています。
「代表的な腸内細菌は3種類。ビフィズス菌、乳酸菌などの善玉菌、ブドウ菌、ウェルシュ菌などの悪玉菌、大腸菌やバクテオロイデスなどの日和見菌に分類されます。善玉菌は、食物繊維を発酵、分解し、酢酸や、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸を生み出します。この短鎖脂肪酸が非常に重要で、腸の栄養源となり、便通をよくするだけでなく、脂肪の蓄積や炎症を抑えたり、免疫力を高める、代謝を促進するなどの働きをしてくれます」一方、悪玉菌は毒素を産生し、発がん物質を作り出すことも。血中に移行すれば免疫力が低下し、肥満や糖尿病、アトピーなどのアレルギー、認知症などの引き金になりかねません。
「ただし、悪玉菌だけを駆除するのは不可能ですし、ナンセンス。腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが大事で、むしろ『多様性』を保っていることが理想的なのです」
 そもそも腸内フローラは、赤ちゃんが誕生するとき、お母さんの産道を通るときに授かった腸内細菌がベース。その後、育っていく過程で食事や生活環境を通じてフローラが形成されていきます。
「ですから、腸内フローラは千差万別。親子は似ているとはいえ、一人としてまったく同じ腸内フローラはあり得ません。生涯現役で健やかに過ごすためには、自分で腸内フローラを健全するよう心がける必要があります」

腸内フローラ検査で改善のポイントを探る
健全な腸内フローラを保つには、どのようなことに心がけたらいいのでしょうか。
「ぜひおすすめしたいのは、自分の腸内フローラの状態を詳しく知ること。健康診断の一般的な便検査では、病原菌の有無、便潜血は調べられても、腸内フローラの様子まではわかりません。今は、便から遺伝子を抽出し、次世代シーケンサーという最先端の解読技術により、自分の腸内に棲息する細菌の種類、数、バランスが詳細にわかるようになりました」田中消化器科クリニックでは、“マイキンソープロ”という検査で、腸内フローラを詳しく調べることができます。この検査結果で注目すべきは、腸内細菌に多様性があるかどうか。
「菌の総数が多く、種類が多くて、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスがとれている状態が理想です。菌の数、種類が少なく、バランスが悪い場合は、抗生物質の乱用に気をつけるほか、食事と生活を改善する必要があります」腸内細菌の多様性を保つため、食事で注意したいのは加工食品だと田中先生。
「市販の弁当や加工食品は、多くの場合調理や加工の際に純水や高度に精製した油脂を使っており、食材の栄養素の多くが溶け出してしまって、十分に残っていない可能性があります。またインジェクション(注射)により生成油脂や化学調味料を食材に注入している可能性も。練り物などに使われる添加物のリン酸塩は、ミネラルの吸収を阻害。加工食品は安価で、簡単に食べられ、腐りづらくて便利な反面、微量栄養素が欠乏し、塩分、糖分、脂肪分、リンの過剰摂取に。豊かな腸内フローラを阻みます」
 また、薬としての抗生物質は避けているつもりでも、家畜や養殖魚のための医薬品、飼料には抗生物質が多様される傾向にあり、これらが知らず知らずのうちに腸内フローラを貧弱にしているという事実も。
「完全に避けるのは不可能ですから、せめて加工食品の摂取を減らしましょう。また腸内細菌を『補菌』するプロバイオティクス、『育菌』するプレバイオティクスを積極的に毎日の食生活に取り入れてください」誕生の時以来、細菌の種類は大きく変わらない腸内フローラも、こうして補菌、育菌していくと理想的な多様な状態へと近づけることができます。
「腸内フローラのためには、十分な水分摂取、適度な運動を行うことも大事。過度なストレスでも腸内フローラは乱れますが、適度なストレスは必要。ストレスをある程度許容して大らかな気持ちを保つことも、腸内細菌の多様性に貢献するのです」