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潰瘍性大腸炎(UC)について


1.潰瘍性大腸炎の病態

大腸の最も内側にある粘膜部分に炎症が生じ、その粘膜にびらんや潰瘍ができてしまう炎症性疾患です。症状としては、血便や粘液便(ねばねばした便)、下痢、腹痛などがあり、これらの症状が良くなったり(寛解期)、また悪くなったり(活動期)を繰り返す慢性の病気です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、病変の拡がりによって全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型に分類されます。

2.潰瘍性大腸炎の診断

この病気の診断には、症状の経過を詳しく聴取することが大切であり、まぎらわしい感染症との区別のための便培養検査も必須です。さらに、大腸内視鏡により、粘膜の様子がこの病気として矛盾がないか、どの範囲まで及んでいるか、重症度はどれくらいかを評価します。また、粘膜の一部を採取(生検)し、他の大腸疾患との鑑別をすることで確定診断されます。

3.潰瘍性大腸炎の治療

軽症~中等症の活動期の寛解導入には、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®、サラゾピリン®)が用いられます。どの病型(全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型)でも内服薬は用いられますが、病変範囲の狭い場合(左側大腸炎型、直腸炎型)では、局所製剤(注腸剤:ペンタサ注腸®、坐剤:ペンタサ坐剤®)も経口剤と併用もしくは単独で用いられます。
基準薬である5-ASA製剤のみで病状の沈静が困難な場合には、ステロイドによる治療(経口剤:プレドニン錠®、注射剤:プレドニン点滴®)が用いられます。ステロイドの局所製剤として注腸(レクタブル®、プレドネマ®、ステロネマ®)や坐剤(リンデロン坐剤®)も存在し、5-ASA製剤のみでコントロールが困難な場合に、全身投与による治療の前に、局所製剤で治療することもあります。ステロイド剤は長期に使用する薬ではないため、効果が得られれば徐々に減量し投与を中止します。
患者さんの中にはステロイドの減量・ 中止の際に再燃する場合があり(ステロイド依存例)、このような患者さんには、免疫調節薬(アザニン®、ロイケリン®)が用いられます。
ステロイド治療で効果が得られない場合(ステロイド抵抗例)やステロイド依存例の一部の方には、血球成分除去療法(GMA:アダカラム®、LCAP:セルソーバ®)が用いられたり、抗TNF-α抗体製剤のインフリキシマブ(レミケード®)やアダリムマブ(ヒュミラ®)、ゴリムマブ(シンポニー®)のほか、免疫抑制剤のタクロリムス(プログラフ®)やシクロスポリンによる治療が行われる場合もあります。さらに、2018年からは抗α4β7インテグリン抗体製剤であるベドリズマブ(エンタイビオ®)、JAK阻害剤であるトファシチニブ(ゼルヤンツ®)が使用可能となり、2020年5月には抗IL-12/23抗体製剤であるウステキヌマブ(ステラーラ®)も保険適用されました。
これらの治療で寛解導入できたら、再燃を予防するために、基本的には 5-ASA製剤による寛解維持療法が長期にわたり行われ、場合により免疫調節薬の長期維持投与、分子標的薬剤のスケジュール投与も行われます。
なお、これらの内科的治療で効果が認められない場合(難治例)や、大腸に穴が開く、大量の出血がみられるなどの重症~劇症例、大腸癌を合併している場合などは外科的治療を選択することになります。