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No.036 食物繊維の働き

食物繊維は、「役に立たない食べ物のカス」と認識されている時代がありましたが、近年では、その機能性の高さから「第6の栄養素」といわれ、2000年の「第6次改定日本人の栄養所要量」からは栄養素の1つとして、摂取量の目安が設定されるようになりました。


食物繊維とは…

食物繊維とは、「ヒトの消化酵素によって消化されない、食物に含まれている難消化性成分」の総称で、主なものに、セルロース、リグニン、キチン・キトサン、ペクチン、アガロース、グルコマンナン、グアガムなどがあります。

生活習慣病との関連

日本人の食事摂取基準(2010年度版)によると、食物繊維の摂取量と関連のある生活習慣病は多岐にわたり、心筋梗塞の発症・死亡、糖尿病の発症、血圧、血清コレステロールとの間で負の相関が示唆され、肥満や便秘との関連を示した疫学研究も報告されています。

このような現状を考慮し、厚生労働省では、成人の食物繊維の摂取目標量を、1日19 g以上と設定しています。

実際の摂取量と付加量

1日20gの食物繊維の摂取で糞便重量が増加し、良好な排便が期待できるとした介入試験(1991年:日本)があり、毎日の快適なお通じに必要な食物繊維は、1日20g以上と考えられます。
しかし、私たちが通常の食事から摂取している量は成人男女ともに、約15g(2009年:国民栄養調査)であり、過去数十年にわたって減少傾向です。
そこで、サプリメントの利用など、食事以外から食物繊維を5~10gを摂取することで、1日の摂取目標量をクリアすることができ、便秘解消も期待できます。

食物繊維の種類

一口に食物繊維といっても、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分けられます。

不溶性食物繊維は、保水性に優れ、便をやわらかく、また量を増やす働きがあります。
ごぼう、にんじん、セロリなどの野菜、麦、玄米などの穀類、さつまいもなどの芋類、大豆、小豆などの豆類に多く含まれ、摂取しやすい食物繊維です。

一方、水溶性食物繊維は、腸内細菌の働きによって分解され、「短鎖脂肪酸」をつくる原料になります。
海藻類、こんにゃく、りんごなどの果物に含まれていますが、意識しないと摂取しにくい食物繊維と言えます。

実際、国民栄養調査の結果でも、不溶性食物繊維の摂取量が、11g /日程度であるのに対し、水溶性食物繊維は、3.5g/日となっています。

短鎖脂肪酸とは

短鎖脂肪酸とは、「酪酸」「酢酸」「プロピオン酸」など、分子量の小さな脂肪酸の総称で、大腸の細胞にとって 主要な栄養源であり、大腸粘膜を増殖・修復し、大腸の働きを助けます。
また、炎症性サイトカインという体内免疫調節物質の発現や抑制のバランス調節を行い、大腸の慢性的な炎症を抑える働きもしています。
さらに、短鎖脂肪酸は、大腸内のphをコントロールし、悪玉菌の増殖を抑え、腸内細菌叢を改善する働きも持っています。

プレバイオティクス効果

食物繊維は、乳酸菌やビフィズス菌のような有用菌を増やし、腸内環境の改善を促進するプレバイオティクスとしても知られています。
食物繊維は腸内細菌のすみかになることによって、有用菌の増殖を促進する働きをしており、トクホでも「お腹の調子を整える」として、食物繊維類(難消化性デキストリン、グアガム、サイリウム種皮、小麦ふすま、キトサン)が関与成分になっています。

ミネラル吸収を阻害する?

不溶性食物繊維には、ミネラルを吸着する作用や、便の量が増えたり、腸内の滞在時間が短くなることで、ミネラルの吸収効率が落ちることがあるため、過剰に摂取するのはマイナスであると言われることがあります。
特に、鉄・銅・亜鉛などは影響を受けやすく、全粒穀物(フィチン酸が多い)を食べている地域の人には亜鉛欠乏症が報告されているようです。
しかし、この吸収阻害作用は、極端な過剰摂取でなければ心配なく、サプリメントで追加して摂取する程度であれば、問題ないと考えられています。

一方、グアガムや難消化性デキストリンなどの水溶性食物繊維は、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の吸収を促進することが動物実験(ラット)で確認されています。
これは、グアガムや難消化性デキストリンの摂取で短鎖脂肪酸が産生され、大腸内のphが低下したことでミネラルの溶解度が高まり、吸収率が上がるためと推測されています。
 
 
参考: 日本人の食事摂取基準2010年版 第一出版
    国民栄養調査2009



情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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