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ホーム > アンチエイジングトピックス > No.077 水銀の汚染経路・体内動態・デトックス

No.077 水銀の汚染経路・体内動態・デトックス


水銀は、温度計や蛍光灯、ワクチンの防腐剤など、私たちの身近なものに使用されていますが、水俣病の原因にもなった毒性の強い金属です。
今回は水銀の汚染経路と体内動態、デトックスについてまとめます。

水銀の吸収経路

水銀の吸収経路や健康障害、デトックス(排泄)は暴露する水銀の状態で異なります。

その状態は「金属水銀 (蒸気)(Hg0)」、「無機水銀塩(Hg+、Hg2+)」、「有機水銀[主にメチル水銀(以下、MeHg)]」の3種類に大別されているため、それぞれの場合ごとにみていきます。

金属水銀

常温で容易に気化するため、水銀蒸気として主に肺から吸収されます。
経口摂取の場合、消化管からの吸収量は非常に少ないと考えられています。

無機水銀

腸管からの吸収量は多くないといわれていますが、吸収量は化合物の溶解度や腸管のpH、食事内容などによって異なります。
特に、溶解度が高く腐食性の強い二価水銀化合物は、腸管の細胞を破壊するため吸収量が多くなると考えられます。
また、歯科用アマルガムに含まれる無機水銀が咀嚼などによって気化した場合は、腸管からではなく肺から吸収されてしまいます。

MeHg

主な摂取源は魚介類であり、中でもマグロ類やキンメダイは、イワシなどの小型魚に比べ、MeHgが濃縮されています。
MeHgは腸管からの吸収率が非常に高く、システイン(以下、Cys)抱合体として大部分が吸収され、門脈を通って肝臓へ移行し、グルタチオン(以下、GSH)抱合体となって血液中や胆汁中に分泌されることが分かっています。

水銀の体内蓄積と有害性

金属水銀

肺から吸収された金属水銀は、主に赤血球と結合して全身に広がり、高い脂溶性を持つために血液脳関門や胎盤を通過します。
しかし、体内のほとんどの組織に存在する経路によって酸化されて脂溶性でない無機水銀になり、膜バリアを通過する能力は徐々に減っていき、組織の外に出ていきにくくなるため臓器内に蓄積しやすくなります。
蓄積が進行すると、肺や腎臓、神経などの器官に障害が起こる可能性が高くなります。

無機水銀

腸管から吸収された後、主にアルブミン (一部はGSH)と結合して全身に広がります。
まず胃腸の細胞にダメージを与え、その後、多くが腎臓に蓄積されて腎障害を引き起こすといわれています。
それは、腎臓で水銀(二価金属)を毒性の低い形で貯蔵するメタロチオネインと呼ばれるタンパク質の発現量が多いためだという考えが有力です。

MeHg

主に蓄積される臓器は肝臓や腎臓ですが、妊婦さんの場合には胎盤を通過して胎児の成長に影響を与えてしまいます。
また、血液脳関門を通過するため脳にも蓄積し、過剰な蓄積によって水俣病に代表されるような中枢神経症状も現れます。
この脳への取り込みはL- Cysによって増加し、L-メチオニンによって抑制されることが発見されており、それは「MeHgのCys抱合体」と「L-メチオニン」が類似の構造を持つからだといわれています。

水銀のデトックス

金属水銀

排泄経路は、呼気や尿、便、汗、唾液などありますが、主に無機水銀塩に変換されて便や尿から排泄されると考えられています。

無機水銀

主に便と尿から排泄されることが分かっています。
暴露後、初めはGSH抱合体として胆汁中へ分泌されるために便中の水銀量が多いのですが、徐々に腎臓への蓄積量が増え、尿中の水銀量が増加するといわれています。

MeHg

排泄は主に便からですが、一部は毛髪や母乳などを介して行われます。
多くのMeHgはGSH抱合体として胆汁中に分泌され、酵素によってCys抱合体となり、ほとんどがアミノ酸と同じような吸収経路で再吸収されると考えられています(腸肝循環)。
また、腎臓に移行したMeHgのGSH抱合体も、腸管循環の様に大部分が近位尿細管で再吸収されますが、一部は尿に排泄されるといわれています。
なお、MeHgは腸内細菌や食細胞(マクロファージ、好中球など)によって分解されて無機水銀となるため、便や尿に排泄される水銀の大部分はMeHgではなく無機水銀の形をしています。

お勧めな栄養素

一般的に、水銀の毒性は細胞の酸化的障害や生理活性物質のチオール基(-SH基)をブロックすることによる障害が考えられています。

そのため、「ビタミンC」や「ビタミンE」、「セレン」などの抗酸化物質の他、水銀の毒性を弱めて排泄を促すチオール基を含む「α-リポ酸」や「GSH」、「L- Cys」、「L-メチオニン」、メタロチオネインの合成に必要な「亜鉛」、胆汁酸を吸着して排泄する「水溶性食物繊維」、腸内環境を整える「乳酸菌」などの栄養素の摂取がお勧めです。

(参考)
イラストレイテッドハーパー生化学 原書29版
Mercury Study Report to Congress(US Environmental Protection Agency)
国立水俣病総合研究センターのHP
熊本大学学術リポジトリ メチル水銀の生体内動態及び毒性の修飾因子に関する研究 1996
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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